■高度経済成長期に作られた退職金制度
今日では、当たり前のように存在する退職金制度。
そもそも、この退職金という制度、いつから存在するのでしょうか？
現代の退職金制度は、高度経済成長期に各社がこぞって取り入れた制度で
す。
バブル時代は終身雇用が当たり前。
優秀な人材を確保し、長期勤務を奨励するために退職金制度が注目されま
した。
国も、この企業の体制を後押し。
税制適格退職年金制度の導入など、中小企業の退職金制度に大きなメリッ
トを設けました。
■「現代の退職金制度の問題点
近年では、この高度経済成長期に作られた退職金制度が各企業にそぐわな
い内容になっています。
終身雇用という概念がなくなり、非正規社員の活用が大きく進んでいま
す。
一つの会社に囚われるのではなく、個人のキャリアを伸ばしステップ
アップしていく。
転職という言葉がマイナスイメージではなくなり、キャリアアップと
いうプラスイメージの言葉に変わってきました。
すると当然、終身雇用を奨励する目的で作られた退職金制度は時代
にそぐわなくなってくるわけです。
一番大きな問題は、団塊の世代の退職に伴い一気に退職金の支払い
義務が各企業に発生すること。
この不景気の時代に、各社員に何千万単位での退職金の支払いが発
生するというのは企業にとって大きな負担です。
これにより、大企業を中心に退職金の前払い制度の導入が加速しま
した。
退職金を一時金で支払うのではなく、在職中に給与に上乗せし分割
して支払うという形式に切り替えたわけです。
こうすることで、一時的なキャッシュの負担は軽減されます。
しかし、そもそもの退職金の意義や目的からすると在職中の分割払い
は社員にとってはクエスチョン。
住宅ローンの返済や老後の貯蓄という役割を担う退職金はやはり
一時金形式が良いのではと、今日では一時金制度への再度
見直しを行う企業も増えてきています。
■退職金制度改革の必要性
多くの企業に見られる基本給連動型の退職金制度。
退職時の給与に、一定の基準により定めた支給率を乗じて退職金を算出
するという方法は、確かに一目明解で社員の理解も得られやすい算出法
です。
ただし、現代の退職金制度としては賃金制度や人事制度の変化に対応し
きれず、会社が気づかない間に退職金が膨れ上がっていくという欠点を
持った制度であるとも言うことができます。
ひと昔前の団塊世代の退職ラッシュ。
実際に退職金の支払いが発生することで、この制度の欠点に気付いた
企業も少なくありません。
こうした背景から基本給連動型から成果主義を取り入れたポイント制
退職金への注目度が高まりましたが、デメリットやそもそも退職金制
度の見直しを重要視している企業が少ないという理由から改革が進ん
いないのが現状です。
ここに拍車をかける様に平成24年、税制適格退職年金制度が廃止とな
りました。
この制度に頼っていた企業は、退職金制度の移行や廃止に大きな労力
を費やしました。
中小企業では「中小企業退職金共済制度」（中退共）への移行を行っ
た企業が数多く見られましたが、中退共制度の退職金準備率の低さに
対する対策は今後の大きな検討材料となるでしょう。
さらに、以前から問題視されていた厚生年金基金制度ですが、
ついに平成26年度に法改正が行われました。
この法改正により、今後5年ほどで厚生年金基金の解散が相次ぐ形
になります。
厚生年金基金を退職金の一部として運用していた企業はこの部分
も制度の見直しが必要になってくることでしょう。
今後の退職金制度は、制度そのものの改定や支給水準の変化に合
わせながら見直していく必要があります。
中小企業においては、なかなか退職金制度の見直しまで手が回ら
ないというのが現状かと思います。
しかし、運用の仕方を間違えると会社の経営に大きな影響を与え
てしまうのが退職金制度です。
今こそ、退職金制度の再検討、再構築が必要な時代です。
コメントをお書きください
Vickie Silveira (木曜日, 02 2月 2017 18:33)
I read this piece of writing completely regarding the resemblance of latest and earlier technologies, it's amazing article.
Roger Gruner (金曜日, 03 2月 2017 00:20)
Good blog you have here.. It's difficult to find good quality writing like yours nowadays. I honestly appreciate people like you! Take care!!